どのジャンルでも現代社会と芸術の関係性を表す様な作品や過去の戦争との関連を描いたものが目に付いた。中でも「One Million Steps」はトルコのイスタンブールが舞台。日常の街角でタップダンスを踊る女性ダンサーが子供や老人たちの笑顔の中で様々なパフォーマンスを見せるが、やがて場面は展開してデモ隊とのコラボレーションに。デモを終息させる警官隊との衝突で和やかな場面は瞬時に崩壊する。今世界で起こっている社会問題と芸術との関係性をタップダンスやアニメーションを基軸に描いた短編。審査員賞を受賞したが、私はこの作品がグランプリでも良かったと思う。グランプリを獲得したのは「The Collection That Did Not」。コンセプチャルアートのコレクションという形の無いものを蒐集するコレクターHerman Daledのドキュメンタリー。作品紹介をする様なドキュメンタリーとは違い、ハーマンの語りやキュレーターや作家のインタビューで、コンセプチャルアートをコレクションする意味について考察するという挑戦的な作品として評価された様だ。作品はカードに記載されたリストやその内容であるために視覚化は出来ないので、映像としてそれをうまく消化出来ていたかは疑問。93分という長い時間の大半は会話なので、この映像作品自体がコンセプチャルなのかも知れない。
今回の入選作で多かったのが建築をテーマにしたものだ。被写体として魅力的なフランク・ゲーリーは2本、オーストラリアとフランスで作られたものがコンペに入選しており、「Getting Frank Gehry」はアート&デザイン賞を受賞した。建築を描いたもので顕著だったのはほとんどの作品てドローンによる撮影が多く見られた。ドローンでの空撮が今まで見られなかった建築のアングルを実現して簡単に複雑な形状を紹介できるようになった事は建築をテーマにする映像の質をステップアップさせた。また内装の撮影にも移動撮影のジンバルなどが多用され、こちらも興味深いアングルを多用して構成したものが多かった。
私の印象に残ったのは音楽のジャンル。やはり良かったのはクリエーション賞を受賞した「Soundhunters, A musical」。音とは何か、サウンドアートとは何かを求めて男女2人が様々なサウンドアーティストの工房を訪問するという設定。音もイメージも登場する男女も美しい。そして紹介されるアーティストたちの音へのこだわりがインタビューを交えて興味深く紹介される。中でもあのMusic for One Apartment and Six Drummersを作ったMagnus B?rjesonnのインタビューは面白い。「これを作った時はこんなに受け入れられるとは思わなかった。ああ、これで良いんだと思ったよ」今見てもこの作品は傑作だと思う。
テレビ番組として作られた「Our Gay Wedding: The Musical」はイギリスとウェールズで2014年に同性の結婚が認められた機会に、新郎ベンジャミンとネイサンテーラーはミュージカルとして結婚式を書き、上演した。家族までもが歌で参加するという試みと、バックスクリーンではこれまでの同性婚が認められた歴史などを振り返ると共に様々な著名人のお祝いの言葉、テレビ番組らしい演出でもあるがほほ笑ましく描かれた祭典として記録されていた。同性婚が認められた国やアメリカの州はまだまだ少数だけれども、この作品を観ると日本ももっと積極的な議論がされるべきだと思う。日本の憲法の該当部分には「両性」となっているので必ずそれが異性でなければならないという定めはないし、何よりも個人として尊重されるという事を考えると認める方が自然であると思える。
SUGIMOTO 杉本博司 Hiroshi Sugimoto from Ufer! Art Documentary on Vimeo. SUGIMOTO
日本語/English Subtitles 2008年から5年間、杉本博司の作家活動を追いかけた。写真作品を中心に立体から舞台、美術コレクションまでを手がけ、妥協をせずに何でも自分でやってみないと気が済まないアーティストは、どんな風に時間を使っているのだろうか。様々なアイデアを具体的な形として作品化してゆく過程を堪能しながら、研ぎ澄ました作品を創出してきた杉本。その根幹には常に人はどこから来てどこへ行くのかという作品コンセプトと共に、人類の行く末を憂いでいる姿がある。 本作品はインタビューを軸に渡米から今日に至るまでの経緯や、8×10写真へのこだわりを紹介。また杉本作品の中核のひとつであるジオラマシリーズをアメリカ自然史博物館で撮影する杉本に同行し、現像、プリントの一連の工程を初めて動画に収録。金沢21世紀美術館や国立国際美術館での個展のメイキングやイズ・フォト・ミュージアム、原美術館での造園作業、杉本文楽のメイキングなどを紹介すると共に、駄洒落好きでオチがないと満足しない、徹底して人生を楽しむ杉本博司という作家に出会っていただける。 http://www.ufer.co.jp/works/sugimoto/
出演・杉本博司 監督・岸本康 Appearance by Hiroshi SUGIMOTO Directed by Yasushi KISHIMOTO
本編/66分 Original story 66min.
The film follows the artistic life of Hiroshi Sugimoto from 2008 to 2013. While an established photographer, the artist also produces sculpture, performance and has his own art collection. Given his tendency to perfectionism, how he is able to manage his time among his various projects is a mystery. Sugimoto enjoys the process in which his ideas realize concrete form and has produced many brilliant works. All his work seems to share the question, where do we come from and go from here, in common, raising issues about the fate of mankind in the process. In the film, Sugimoto himself talks about his journey since his debut in the US and his career up to today, and his fascination with 8×10 photos. The film also comprehensively captures the artist’s production process for the first time, including a diorama photo shoot, one of his most well-known works, at the American Museum of Natural History, as well as developing and printing at his studio. Going backstage at his exhibition at the 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa, The National Museum of Art, Osaka, Izu Photo Museum, Hara Museum and of his Bunraku performance, the film reveals Sugimoto’s playful, yet rigorous, enjoyment of life. http://www.ufer.co.jp/works/sugimoto/english.html
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We have a library version and a collection version.
http://www.ufer.co.jp/order/english.html
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