束芋展、森村展、杉本文楽

 暑かった夏も終わってようやく秋。
 8月に入っても束芋のドキュメンタリー「芋蟲」を仕上げるため結局夏休みなしで過ごしてしまった。本来であれば国立国際の大阪展に間に合わせるはずが、結局まったく遅れて、会場で販売してもらったのも最後の3日間だけになってしまった。
 今年は束芋展と森村展の国内巡回があってそれに伴う作品制作もあるので、自作をそれと平行してやって行くのはなかなか難しい。ドキュメンタリーの制作は私自身も展示会場で設営の仕事をしているために当事者あり、その内容を客観的に記録するのはなかなか困難だ。横浜美術館の束芋展ではカメラを青木兼治くんにお願いして設営の日程の半分以上を美術館で過ごしてもらった。そのために今回あの展示の立込みなどのメイキングが多めに収録出来ている。作家の資料としてもメイキングは重要で今後の展示の指針にもなり、特に海外出展示する時にその工程を伝えるためには映像は欠かせない。
 さてドキュメンタリーとしての出来はどうだろうか。内部に居ないと分らない事や撮れないことも多いのだが、その反面慣れによって見過ごしてしまうことも少なくない。作家の作品制作の中へ片足が入っているので、それを独自の視点とするしかないのだが・・。
 また8月は杉本文楽で使う映像の撮影が大阪の国立文楽劇場であった。杉本文楽とは「来年の3月に神奈川芸術劇場で杉本博司が、日本の伝統芸能のひとつである人形浄瑠璃文楽の中から近松門左衛門の代表作『曾根崎心中』を選び、構成、演出、舞台美術映像を手掛ける」というもので、大きな箱で小さな人形をどう見せるかが大きな鍵になっている。私はその映像制作の担当。こちらが公式レポート。
写真は、撮影後のプレスインタビューの一コマ。(杉本さんのギャグに苦笑されているように見える桐竹勘十郎さん。)
 9月に入って金沢のフィッシュリ&ヴァイスの映像展示のサポート。多種多様の作品が展示されているが60年代に作られた「事の次第」のメイキング映像がいい。その「事の成り立ち」と題された映像では、大人が真剣にタイヤを何度も転がしては微調整するのだが完全に楽しんでやっているところがいい。あれから40年、彼らはまだまだ楽しんで作品を作っている様に感じた。
 また8月末にサーバーを新しくした。OSXserverを最新のversionの10.6にした。10.5からは移行ツールで更新したが10.4からの移行で手間取ったことを考えると拍子抜けするくらいすんなり出来た。マシンも新しくなってファイルサーバーやiCalサーバーが軽くなった。このページも軽くなったのではないだろうか。このブログページもOSXserverの付録をそのまま使っている。AppleはiPhoneに忙しくてなかなか業務用途の映像制作ソフトを最近バージョンアップしてくれないのだが、iPhoneコンテンツの増殖には驚く。美術界でもMoMA の有料カタログや、無料で展覧会の音声案内を始めている。Podcastでは作家インタビューのコンテンツ。それらは無料でも以外と質が高く、ビジュアルコミュニケーションとしてこれから美術館が行なうべき仕事の一つになりそうな勢いだ。
 8月から来年のベネチアの日本館の展示に向けての機材関係の試作も始めた。現在の束芋の計画では日本館の高床式の縁の下(ピロティーと呼ばれる部分)でもプロジェクターで投影するため屋外対策が必要だ。ひとつは夏の虫、もうひとつは盗難対策だ。虫対策は金網やガラスを使って何とかなるが、盗難の防止はなかなか難しい。いろいろと調べると日本では盗難対策のビスや金具が数多く作られていて、どの会社の製品もオリジナリティーがある。それらはあまり大きな会社ではなく、社長さん自ら考えて作り出しているような、かつて日本にたくさんあった頼もしい製造業だ。
 屋外にプロジェクターを設置するとなるとデリケートな機材だけに手荒なことをされると盗難に至らなくても壊れてしまうかも知れない。これは盗んでも仕方ないと思わせる方法も考えないといけない。良い知恵をお持ちの方は是非ご教授いただきたい。こういう思案を撮りに来てくれる取材が本来のドキュメンタリーなのだと思うが、分っていても自分でも撮れない。
 今月は森村展が広島現代美術館に。23日のオープニング前にはスクリーンをバックにピアノ演奏のパフォーマンスを予定。

SUGIMOTO 杉本博司 Hiroshi Sugimoto from Ufer! Art Documentary on Vimeo.
SUGIMOTO
日本語/English Subtitles

2008年から5年間、杉本博司の作家活動を追いかけた。写真作品を中心に立体から舞台、美術コレクションまでを手がけ、妥協をせずに何でも自分でやってみないと気が済まないアーティストは、どんな風に時間を使っているのだろうか。様々なアイデアを具体的な形として作品化してゆく過程を堪能しながら、研ぎ澄ました作品を創出してきた杉本。その根幹には常に人はどこから来てどこへ行くのかという作品コンセプトと共に、人類の行く末を憂いでいる姿がある。
本作品はインタビューを軸に渡米から今日に至るまでの経緯や、8×10写真へのこだわりを紹介。また杉本作品の中核のひとつであるジオラマシリーズをアメリカ自然史博物館で撮影する杉本に同行し、現像、プリントの一連の工程を初めて動画に収録。金沢21世紀美術館や国立国際美術館での個展のメイキングやイズ・フォト・ミュージアム、原美術館での造園作業、杉本文楽のメイキングなどを紹介すると共に、駄洒落好きでオチがないと満足しない、徹底して人生を楽しむ杉本博司という作家に出会っていただける。
https://www.ufer.co.jp/works/sugimoto/

出演・杉本博司 監督・岸本康
Appearance by Hiroshi SUGIMOTO
Directed by Yasushi KISHIMOTO

本編/66分
Original story 66min.

The film follows the artistic life of Hiroshi Sugimoto from 2008 to 2013. While an established photographer, the artist also produces sculpture, performance and has his own art collection. Given his tendency to perfectionism, how he is able to manage his time among his various projects is a mystery. Sugimoto enjoys the process in which his ideas realize concrete form and has produced many brilliant works. All his work seems to share the question, where do we come from and go from here, in common, raising issues about the fate of mankind in the process.
In the film, Sugimoto himself talks about his journey since his debut in the US and his career up to today, and his fascination with 8×10 photos. The film also comprehensively captures the artist’s production process for the first time, including a diorama photo shoot, one of his most well-known works, at the American Museum of Natural History, as well as developing and printing at his studio. Going backstage at his exhibition at the 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa, The National Museum of Art, Osaka, Izu Photo Museum, Hara Museum and of his Bunraku performance, the film reveals Sugimoto’s playful, yet rigorous, enjoyment of life.
http://www.ufer.co.jp/works/sugimoto/english.html

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