今回は久々にモントリオールだけの滞在で映画祭The 27th International Festival of Films on Artを過ごす。今年も来るかどうか迷っていたが、アスリートが国際試合に出かけて得るものが大きいように、海外の観客を前に自作を見たり、他の作品や参加している監督たちから得るものが大きい。言わば勉強のために2週間を費やし強化合宿のようなものだ。現在の私の制作にこの映画祭で得たものが自覚しないところでも大きく影響して来たと思う。
今年は賞の対象になっているコンペ部門と公式上映のパノラマではあまりその差を感じることができなかったが、審査員賞をもらったBORIS RYZHYは多様な映像言語とその描写力によって、ロシアで自殺した若い詩人について描く。彼の故郷を訪れてインタビューを繰り返すことによってロシアにおける若者の自殺ということを起点に現代の問題点を掘り下げている。これだけ暗く重いテーマについて、見る者を深く消沈させるほどの映像で語る。相変らず凄いサブジェクトとやっているこの監督のアリオナ自身にも興味をもった人も多いのではないかと思う。
MORIMURA Chapter 0 森村泰昌 Yasumasa Morimura from Ufer! Art Documentary on Vimeo.
1.MORIMURA Chapter0 Barco negro na mesa + Five Water Towers
2008年 27分 第27回モントリオール国際芸術映画祭参加作品
1984~85年制作の「卓上のバルコネグロ」、そしてこのシリーズの中の「水の塔」をもとに2007年に制作した立体作品、さらに両作品を白と黒の市松模様の空間にまとめたインスタレーションは「卓上のバルコネグロ+五つの水の塔」と題され、2007年に金沢21世紀美術館で展示された。
発想から制作までの一連の過程と作品への想いを森村自身の語りで伝え、映像はインスタレーションの全貌を映しながら、森村の表現活動への姿勢を捉える。
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2.モリエンナーレ/まねぶ美術史 2012年 31分
モリエンナーレとは? 美術史を公的な一般論的なものとしてとらえるのではなく、私的な個人史で語ることによって、等身大の美術史を見つけ出す。「私美術史」の実現、これを等身大をはるかに超えた規模で展開する昨今のビエンナーレやトリエンナーレをいささか皮肉るスタンスで「モリエンナーレ」と称してみたい。(森村泰昌)
この映像は2010年に高松市美術館で開催された「モリエンナーレ」が、2011年にふくやま美術館に巡回した時の会場記録と共に、森村泰昌のインタビューを交えてまとめたものである。
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3.美の教室、静聴せよ 2012年 35分
熊本市現代美術館と横浜美術館で2007年に開催された「美の教室、静聴せよ」では、森村が自ら解説する無料の音声ガイドプレイヤーを鑑賞者が聞きながら展覧会を観るという形式がとられた。
この映像は横浜美術館での展示風景を音声ガイドで使われた音声の一部と共にまとめた記録である。 初期のゴッホから当時最新のミシマまでを語った。
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