ベネチアのノルディカ 山と美術

 もう蝉も鳴き出しそうなくらい日中は暑い。
 4月は杉本さんの国立国際でのメイキング収録、大原美術館のインスタレーション、IZU PHOTO MUSEUMの建築現場を訪ねた後、金沢で森村作品のインストール。4月はその半分が撮影に終わった。5月は直島で杉本さんの取材、国立国際の展示収録、大山崎の聴竹居でで栗本夏樹展の収録、6月はベニスの新しい美術館、ポンタデラドガーナPunta della Doganaで新シリーズを展示している杉本さんのインタビュー、ベネチア・ビエンナーレのやなぎみわさんとウディチコの展示収録。その合間を縫って束芋の新作プランの機材調査や実験を行ない、来年の森村展の打合せなどを東京で。
ポーランド館でウディチコのインスタレーション撮影
カメラはP2でした
 7月最初の仕事は、来年の渡航の予約のために10年目のパスポートの切替に。朝一番でドアが開くと同時に入って3番目だったので、手続は10分ほどで終了。印紙を買うところで聞いたが繁忙期は最高5時間待ちとか・・。
 鶴橋で来年巡回する森村展に向けての打合せと、今後の作品の段取りのミーティング。そして鶴橋と言えば焼肉。2週目はやなぎさんの会場撮影と、来年の束芋展のプロジェクターテスト。京都芸術センターでラム・カツィールの設営・・。夏休みシーズンも間近になった。
 なかなか山へも行けてないが、先日ベニスの帰りにたまたま同じ船になったICI石井スポーツの店長さんに聞いたが、今すごい勢いで若い女性の間で登山ブームらしい。どこからそんなところに火がつくのか分らないが、そう言えば、前日トレーニングでたまに出かける大文字山でも真新しいトレッキングブーツを履いているのに普段の服装に近い女の子たちが来ていた。登山ブームは確かにあったが、中高年中心でどちらかと言えば、体育会系の高年齢の方が中心で、私などは「おにいちゃん」扱いである。そんな中に孫ほどの女子たちが新規参入なので、今後の展開が楽しみである。美術館、博物館人気の次はやはり登山か。
 現代美術と登山が結構近しいものであるという私の持論をなかなか理解してくれる人は少ないのだが、先日読んだ新田次郎の槍ケ岳開山に、こんな一節があった。
「・・・・・登山と禅定とは同じようなものです。それは高い山に登って見れば自然に分って来ることです。なにかしら、自分というものが山の気の中に溶け込んでいって、自分が何であるのか、人間がなんであるのか、なぜ人間は死なねばならぬのか、そういうむずかしい問題さえ、自然に山の気が教えてくれるようにさえ、思われて来るのです。そのような境地は登山によって身を苦しめて得られるものではありません、登山はけっして苦行ではなく、それは悟りへの道程だと思います」
 主人公の槍ケ岳開山に至る播隆上人が、笠ケ岳を開山した後に、登山と宗教について旅先の村人に法話をする中での一部だが、宗教と美術を置き換えても私としては理にかなったものとして、この1820年代の風景を思い浮かべた。美術でもゴーギャンや杉本博司の海景のコンセプトにあるように、自分が何であるのかを知るための行為が、現代美術なのかも知れない。そして、それは人の心に強く語りかける。
(写真はベニスの空港にあったスキーブーツの老舗、ノルディカのディスプレー。水の都は実は山にも近く、古くから登山靴のメーカーがたくさんあるらしい。ICIの店長も来年のモデルの打ち合わせに来ていた。)
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201806追記
ポンタデラドガーナの展示はSUGIMOTOの本編には出てこないですが、アーカイブに収録されており、杉本氏本人の語りでダジャレを交えて紹介いただいてます。

SUGIMOTO 杉本博司 Hiroshi Sugimoto from Ufer! Art Documentary on Vimeo.
SUGIMOTO
日本語/English Subtitles

The film follows the artistic life of Hiroshi Sugimoto from 2008 to 2013. While an established photographer, the artist also produces sculpture, performance and has his own art collection. Given his tendency to perfectionism, how he is able to manage his time among his various projects is a mystery. Sugimoto enjoys the process in which his ideas realize concrete form and has produced many brilliant works. All his work seems to share the question, where do we come from and go from here, in common, raising issues about the fate of mankind in the process.
In the film, Sugimoto himself talks about his journey since his debut in the US and his career up to today, and his fascination with 8×10 photos. The film also comprehensively captures the artist’s production process for the first time, including a diorama photo shoot, one of his most well-known works, at the American Museum of Natural History, as well as developing and printing at his studio. Going backstage at his exhibition at the 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa, The National Museum of Art, Osaka, Izu Photo Museum, Hara Museum and of his Bunraku performance, the film reveals Sugimoto’s playful, yet rigorous, enjoyment of life.

Appearance by Hiroshi SUGIMOTO
Directed by Yasushi KISHIMOTO

This video program for private use (Home use) only.
We have a library version and a collection version.
http://www.ufer.co.jp/works/sugimoto/
https://www.ufer.co.jp/order/english.html

JPWiMAX

2008年から5年間、杉本博司の作家活動を追いかけた。写真作品を中心に立体から舞台、美術コレクションまでを手がけ、妥協をせずに何でも自分でやってみないと気が済まないアーティストは、どんな風に時間を使っているのだろうか。様々なアイデアを具体的な形として作品化してゆく過程を堪能しながら、研ぎ澄ました作品を創出してきた杉本。その根幹には常に人はどこから来てどこへ行くのかという作品コンセプトと共に、人類の行く末を憂いでいる姿がある。
本作品はインタビューを軸に渡米から今日に至るまでの経緯や、8×10写真へのこだわりを紹介。また杉本作品の中核のひとつであるジオラマシリーズをアメリカ自然史博物館で撮影する杉本に同行し、現像、プリントの一連の工程を初めて動画に収録。金沢21世紀美術館や国立国際美術館での個展のメイキングやイズ・フォト・ミュージアム、原美術館での造園作業、杉本文楽のメイキングなどを紹介すると共に、駄洒落好きでオチがないと満足しない、徹底して人生を楽しむ杉本博司という作家に出会っていただける。

出演・杉本博司 監督・岸本康

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