束芋の新作と無料貸自転車 / imo-la: tabaimo -2007-

 もう夏も終わろうとしている。またまたご無沙汰してしまった。
 一昨年から束芋の技術サポートをするようになって、ようやく新作の「ギニョル」の発表にこぎ着けた。デンマークのオーフス(Aarhus)にある美術館 ARoS Aarhus Kunstmuseumで26日から始まった展覧会で初公開となった。www.aros.dk
束芋の新作 ginyo-ru 360度全周にイメージがうごめく

 

 束芋のこれまでの作品でも多用しているマルチスクリーンをさらに進化させた直径5mの円筒型のスクリーンにイメージを投影させた作品。6台のプロジェクターを使い、半透明のスクリーンに投影するため、イメージは外側からでも内側からでも見ることが出来る。特に内側に入って座り込むと頭上に束芋の宇宙が広がる。設置は大変だができ上がると楽しく眺められるインスタレーションだ。
 この展覧会には、他にエルンスト・ネトやグレイソン・ペリー、ピピロッティー・リストなど個性的な作家も名を連ねている。会期は12月30日まで。ピピロッティーは残念ながらオープニングには来ていなかった。国内でも「キリンアートプロジェクト2005」の展覧会で9月30日から東京、10月29日から大阪でギニョルを展示予定。

無料の貸自転車
硬貨を入れると鍵がぬける
自転車置き場の地図も付いていてる
 さて、このオーフスという町、人口22万人でありながら都会的な感じも漂わす大人の街だ。デンマークは日本に比べても物価が高い。でも無料のものもあった。貸自転車だ。市内のいたるところに8台ほど止められる自転車置き場があり、20クローネ硬貨1枚(約400円)を鍵の刺さっているところに入れればロックが解除される。あとは、行きたいところまで好きなだけ走って、最寄りの置き場で鍵を差し込めば、硬貨が返却されるしくみだ。市販の自転車に比べると少し重く、堅牢につくられている様だが走ってみると悪くなく、旅行者にとってはありがたい。自転車置き場の地図も付いていてる。自転車の専用レーンがあるので、それをどちらに向いて走るのかを少し戸惑うが、慣れれば良い足だ。違法駐輪の多い京都でもこんなサービスがあればと思うがどうだろうか。
日帰りでスクックホルムへ打合せへ行ったときに帰りに乗った英国航空の18人乗り国際線旅客機。機内に持ち込める荷物は貴重品だけという狭さ。手荷物もタラップのところで預けさされて、翼の下に押し込められる。どうにかビデオカメラは中に持って入った。でもとてもラブリーでかわいい。古きよき時代を彷彿させられたひととき。


この記事に出てくる「ギニョル」はimo-la tabaimo -2007-に収録されています。

imo-la: tabaimo -2007- 束芋 -2007- from Ufer! Art Documentary on Vimeo.
束芋のドキュメンタリー第三弾。
 世界から注目される作家になった束芋。複数のスクリーンにアニメーションを投影するインスタレーションを制作するというスタイルは変わらないが、現代日本の日常風景をモチーフとした初期作品を経て、近年は、より抽象的で内面的な世界へ表現の幅を広げている。
 本作imo-laでは、「hanabi-ra」(2003年)から2007年ヴェニス・ビエンナーレに出品した最新作「dolefullhouse」までの4年間に制作された作品とその制作過程、展覧会などを、束芋へのインタビューを交えながら振り返る。
 最初に登場する「hanabi-ra」は音の付いていない無音の作品。キリンプラザ大阪のできやよいとの2人展で発表されたこの作品は数少ない1台のプロジェクターによる投影。 繊細に描かれた1枚1枚の花びらが舞い降りる。その後、東京、ニューヨークのギャラリーの個展や原美術館での個展でも展示された。アトピーに悩む自らの手をモチーフとし、360度の円筒スクリーンと手着彩に挑戦した大作「ギニョる」(2005年)。  直径5m、高さ約2mの円柱状のスクリーンが宙に浮かび、アニメーションが映し出される。従ってこの作品には右端や左端といった切れ目はなく、360度全方向に展開される。ギニョる」のイメージは、スクリーンの内側と外側からも見られるが全景を一度に見渡せることはない。それがこの作品の形のコンセプトにもなっている。
 デンマークのオーフスで初展示の後、東京、大阪でも展示。インタビューで「あっこれが本当に私の思うベストだな・・・」と振り返った、2006年の原美術館での個展。新作として「真夜中の海」「ギニョラマ」「公衆便女」の三作。原美術館の展示室空間を利用した展示は大きな話題になり、週末には作品の前に長い順番待ちの行列ができた。 「真夜中の海」は、それまでの作品にはない白と黒の世界。スクリーンを階上からのぞき込むという設えと具体的でありながら抽象的な展開を見せるストーリーが融合し、束芋の新たな展開を見せた。
 2006年秋には、カルティエ現代美術財団(パリ)での個展。旧作「通勤快速」「お化け屋敷」と「真夜中の海」の天井に投影したバージョンを披露。ニューヨークでの個展(2005年)での印象と比較しながらフランスでの感想を語る。2006年秋には、カルティエ現代美術財団(パリ)での個展。旧作「通勤快速」「お化け屋敷」と「真夜中の海」の天井に投影したバージョンを披露。ニューヨークでの個展(2005年)での印象と比較しながらフランスでの感想を語る。最後にヴェニス・ビエンナーレに出品した「dolefullhouse」。 ドールハウスという閉じた空間をモチーフに現代社会の動きを投影している様にも見える。「作品の完成形が想像できてしまうと作らない、驚きをもって形になってこないと面白くない」と言う束芋。彼女は今後どこへ向かうだろうか。
2007年 監督・岸本 康
本編映像51分
第26回FIFAモントリオール国際芸術映画祭入選

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Tabaimo is a contemporary artist who makes installations using computer-generated animation. Her animated works are derived from her drawings. Since her 1999 graduation piece, Japanese Kitchen, caught the attention of the art world, she has become an internationally well-known artist and has continued creating installations. At the age of 26 she assumed the post as professor at University of Art and Design, Kyoto and she took part in the Sao Paulo Biennale and the Yokohama Triennale. Such achievements at a young age have resulted in turning her into a legend.

Directed by Yasushi Kishimoto
Original story 51min.

You can watch the original story(HD movie) in Vimeo.
DVD include additional track (installation view).

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